日本消化器がん検診学会雑誌
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症例報告
胃粘膜下腫瘍様の形態で発見された腎動脈瘤の1例
坂田 泰志江口 仁大串 昭彦朝長 元輔松永 圭司坂田 祐之藤本 一眞水口 昌伸
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2010 年 48 巻 3 号 p. 362-366

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抄録

症例は64歳, 女性。高血圧症で, 当院で11年前から降圧薬を投与している。血圧は正常化し, 胸部X線写真で心拡大はなく, 心電図も正常であった。肉眼的血尿, 腹痛はない。6年前に十二指腸潰瘍でH.pyloli除菌治療を受け成功し, その後, 年に1回上部消化管内視鏡検査を定期的に受けられているが異常を指摘されなかった。2009年の上部消化管内視鏡検査で胃体上部後壁に約2cmの粘膜下腫瘍様の隆起が認められた。精査目的の腹部造影CT検査で, 23×16mmの左腎動脈瘤があり, 胃を圧排していた。動脈瘤壁に石灰化は認めなかった。破裂の予防目的で, 佐賀大学泌尿器科において左腎動脈瘤切除及び左腎動脈形成術が行われた。病理所見は動脈硬化性動脈瘤であった。腎動脈瘤は比較的稀な疾患で無症候性が多く, CTやMRI検査などで偶然発見されることが多いとされている。上部消化管検査においても胃粘膜下腫瘍様所見の原因の一つとして, 鑑別に上げる必要があると思われた。

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© 2010 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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