日本調理科学会誌
Online ISSN : 2186-5787
Print ISSN : 1341-1535
ISSN-L : 1341-1535
調理における鰹だしの抗酸化効果
梨本 亜希稲森 美奈子高木 三姿郎松田 秀喜
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 41 巻 3 号 p. 184-188

詳細
抄録

本研究では,加熱調理において,鰹だしが脂質酸化へ及ぼす効果について検討を行った。マイワシを試料として用い,鰹だしと水で加熱調理して煮魚を得た。煮汁のDPPHラジカル消去活性を測定し,水で加熱調理した煮魚と鰹だしで加熱調理した煮魚について官能検査で生臭さを比較し,脂質酸化の抑制を確認した。その結果,鰹だしを調理に用いた場合に,煮魚の生臭さが抑制されていることが認められた。また,鰹だしの濃度に比例して, 煮汁のD P P H ラジカル消去活性が上昇した。鰹だしを調理に用いることでマイワシのT B A 価は低くなり, 脂質酸化生成物を抑制することが示された。更に,煮魚の香気成分中の脂質酸化生成物を抑制していることもGC-MS分析により認められた。以上の結果から,調理において鰹だしが有効な抗酸化効果を発揮していることが示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top