2008 年 41 巻 3 号 p. 184-188
本研究では,加熱調理において,鰹だしが脂質酸化へ及ぼす効果について検討を行った。マイワシを試料として用い,鰹だしと水で加熱調理して煮魚を得た。煮汁のDPPHラジカル消去活性を測定し,水で加熱調理した煮魚と鰹だしで加熱調理した煮魚について官能検査で生臭さを比較し,脂質酸化の抑制を確認した。その結果,鰹だしを調理に用いた場合に,煮魚の生臭さが抑制されていることが認められた。また,鰹だしの濃度に比例して, 煮汁のD P P H ラジカル消去活性が上昇した。鰹だしを調理に用いることでマイワシのT B A 価は低くなり, 脂質酸化生成物を抑制することが示された。更に,煮魚の香気成分中の脂質酸化生成物を抑制していることもGC-MS分析により認められた。以上の結果から,調理において鰹だしが有効な抗酸化効果を発揮していることが示唆された。