日本調理科学会誌
Online ISSN : 2186-5787
Print ISSN : 1341-1535
ISSN-L : 1341-1535
化工でんぷんによる光沢発現
大谷 貴美子瀧口 悦子片岡 あゆみ饗庭 照美井川 佳子松田 秀喜石田 丈博中久 喜輝夫
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 37 巻 2 号 p. 159-169

詳細
抄録

各種市販化工でんぷんおよび架橋度の異なるタピオカ,ワキシーコーンでんぷんを用い,すりガラス板を用いたモデル系とかまぼこを用いた食品系で,「焼成」と「濡れ」による光沢度発現について検討を行った. デジタルマイクロスコープにより各々のサンプル溶液を塗布した光沢表面を観察したところ, 1)均一な被膜を形成する被膜型, 2)被膜を形成するが,溶質が塗布面の中心に偏る被膜凝集型, 3)均一な被膜を形成し,つやのある被膜つや型, 4)塗布面の周囲に溶質が,ドーナツ状に偏るドーナツ型,の4つのパターンに分類された. 「焼成」の実験における光沢表面の表現型は,架橋処理群で被膜・被膜凝集型,酸化・低分子化処理群でドーナツ型であったが,光沢度は,後者の方が高かった. 「濡れ」の実験における光沢表面の表現型は,架橋でんぷんで被膜型,酸化・低分子化処理群でドーナツ型であり,光沢度は,前者の方が高かった. 『かまぼこ』を用いた実験では,光沢表面の表現型は,架橋処理群で被膜つや型・被膜型,酸化・低分子化処理群でドーナツ型であり,光沢度は前者の方が高かった. 架橋度の異なるリン酸架橋タピオカでんぷんの場合,焼成,濡れいずれの場合も,架強度が高くなるほど,光沢度は低くなったが,アミロースを含まないワキシーコーンでんぷんの場合は,架橋度との相関は認められず,アミロースが光沢発現に重要な役割を果たしていることが示唆された.

著者関連情報
© 一般社団法人日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top