日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1P-1
会議情報

ポスター発表
炊飯過程の米粒内部の視覚的・定量的把握および糊化度との対応性
*大田原 美保福原 美鶴
著者情報
キーワード: 炊飯, 糊化度, 画像解析, 明度
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】演者らは飯一粒を厚さ0.1 mmに圧縮した米飯粒プレパラートを一定条件下の顕微鏡で撮影し,画像解析によって粒内部性状の可視化と定量化を行う一連の手法(圧縮米飯粒法)を先に考案した1)。本研究ではこの手法を適用して炊飯過程の米の粒内変化を視覚的・定量的に把握し,画像解析で得た特徴値と糊化度の対応性を検討した。

【方法】コシヒカリの精白米に米重量比1.0,1.5,1.9となるよう加水して浸漬した後に炊飯し,沸騰後0,3,5分および消火後0,15分後に釜から取り出して試料米飯とした。試料米飯の水分含量(常圧加熱乾燥法),糊化度(BAP法)を測定した。次に試料米飯を1粒ずつ機器で荷重をかけて0.1 mmに圧縮したプレパラート(圧縮米飯粒)を作製し,色測定(L)および顕微鏡(BZ-X700,KEYENCE)撮影画像を解析した。

【結果】水分含量は一般的な炊飯方法(加水比1.5消火後15分蒸らし)の飯では61.7%で,加水比1.9の場合は沸騰後3分でそれと近い値を示し,加水比1.0消火後15分は低かった。一方,糊化度は加水比1.9沸騰3分よりも加水比1.0消火後15分の方が10%以上高かった。圧縮米飯粒画像に対して複数の輝度区分で多値化処理した結果,沸騰後3分ではいずれの加水比でも粒内は不均一で中央に輝度の低い部分が集まっていることが示され,飯中心部まで糊化が進んでいないと推察された。消火後15分では画像輝度の分布傾向に粒内部位による違いは少なく,加水量が多い方が全体的な輝度値は高かった。画像の輝度130以下の面積率および圧縮米飯粒のL値と糊化度との相関係数は高く,これらの指標によって飯の糊化度を推定できる可能性が示された。

1)大田原ら(2018),日食科工誌,65,170-182

著者関連情報
© 2023 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top