日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2D-1
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口頭発表
大豆ペーストを利用した豚肉加工品の介護食品としての物性および嗜好性の検討
*中川 裕子裾分 希正木 直子高橋 智子大越 ひろ
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抄録

【目的】高齢者の低栄養状態を改善するためには良質なたんぱく質源の摂取が望まれるが,食肉は硬く,嚥下後の口腔内の残渣も問題となる。本研究では,食べやすさおよび美味しさを考慮した豚肉加工品の調製を行うことを目的に,豚肉の一部を大豆ペーストで置換した試料を調製し,力学的特性および主観的特性,味認識装置による測定を行った。

【方法】1)試料:国産豚ロース肉をミンチ肉にし,大豆ペースト(全体量の30%,40%,50%),マッシュポテトおよび食塩をフードプロセッサで混合した。混合した試料を真空加工し加熱した。大豆ペーストを添加しないものを基準試料(CP)とし,30%,40%,50%添加したものをそれぞれCPS30,CPS40,CPS50とした。

2)実験項目:加熱後試料肉の重量変化率,水分含有率,テクスチャー特性,実体顕微鏡での試料表面の観察,官能評価および味認識装置およびを行った。

【結果・考察】テクスチャー特性の硬さは,大豆ペーストを添加するほど軟らかく,付着性は高値を示した。凝集性はCPS30,CPS40と比較し,CPS50が高値を示した。試料表面はCPが最も凹凸が大きく,大豆ペーストを添加した試料は添加割合が大きくなるほどきめ細かく組織が密であった。 若年者を被験者とした官能評価では,大豆ペーストの添加割合が大きくなるほどやわらかく,残留感が低下する傾向であった。また,味認識装置の結果,大豆ペーストを添加することで先味において「うま味」が上昇し,後味では「渋味」や「苦味・雑味」が上昇した。 豚肉の一部を大豆ペーストに置換することで,食べやすさの改善および嗜好性の向上に有効であることが示唆された。

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