日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k34
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
徳島県の家庭料理 地域の特徴
ー地域で親しまれてきた料理ー
*三木 章江高橋 啓子後藤 月江川端 紗也花長尾 久美子松下 純子坂井 真奈美近藤 美樹金丸 芳
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抄録

【目的】徳島県は四国の東部に位置し、県域の約8割を山地で占めている。温暖な気候で香酸柑橘類の産地でもあるが、県内で最も高い剣山を中心とする山岳地では降雪量が多く、雨量も太平洋に面した県南では多雨、県北部では瀬戸内式気候で少雨と、気候風土が異なる。このような地形・風土の違いにより受け継がれてきた家庭料理においても地域の特徴がみられるか検討したので報告する。

【方法】徳島県を県中央部、県西部、県南山間部、県南沿岸部、吉野川北岸の5地区に分け、聞き取り調査を実施し、その結果をもとに、主食、主菜、副菜、汁物、おやつに分類し、地域性を検討した。

【結果・考察】徳島県全域において、主食では「かき混ぜ寿司」、「魚の姿寿司(ボウゼ)」、主菜では「すき焼き」、副菜では「なます」、汁物では「そば米汁」、おやつでは「ういろ」、「柏餅(練り込み)」、「干し芋」、「餅(のし餅・おへぎ・あられ)」が挙げられた。「かき混ぜ寿司」に共通する具材は人参、大根、高野豆腐、椎茸、卵、春は筍や山菜で、金時豆の甘煮、里芋は全域で使用されていたが、県南ではそこ豆(落花生)やひじき、ちりめんじゃこ、焼いた魚の身が使用されており、地域性がみられた。寿司酢には全域で木酢(すだち、ゆず、ゆこう)が使用されていた。すき焼きの具材には、県中央部では牛肉、山間部では猪やウサギ等のジビエ肉、沿岸部はカツオが使用されていた。県南や県中央部では主菜、副菜、汁物に魚介類や海藻を使用した料理、山間部、吉野川北岸、県西部では主菜に川魚やジビエ肉、副菜には山菜を使用した料理が挙げられ、地域で使用された食材の特徴として、地元で入手しやすい食材や特産物、加工保存した食材等を使用していることがわかった。

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