日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k4
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
宮城県の家庭料理 地域の特徴
*矢島 由佳和泉 眞喜子宮下 ひろみ野田 奈津実濟渡 久美高澤 まき子
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抄録

【目的】伝統的な地域の家庭料理を次世代に伝承することを目的に、平成24~26年にわたり日本調理科学会特別研究として食生活の背景となる地勢・気候・生業等と併せて食生活の特徴や伝え継ぎたい家庭料理について聞き書き調査を行った。その調査結果から宮城県の家庭料理の特徴について報告する。

【方法】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の調査方法に従い、昭和35~45年頃までに定着した料理の聞き書き調査の報告書をもとに、宮城県の家庭料理における地域の特徴についてまとめた。

【結果・考察】宮城県は、県西側は南北に連なる奥羽山脈、県東側は細長い湾や入り江を複雑に形成するリアス式海岸、そして両者の間には丘陵地帯や平野が広がり、多様な地形を有しており、各地域には昔ながらの食文化が見られる。宮城県は穀倉地帯とされているが、米の生産量が少なかった時期は麦飯やかて飯が主で、かつては年貢米として小麦を栽培し、これを主食とするはっと文化が県北地域で発展した。また、ハレの日の食べ物としてもち料理が供され、特に県北地域で種類が豊富であった。主菜は、山間地域で野生の熊や兎を、平野や丘陵地で家畜の鶏、山羊、牛などがあげられ汁物とされていた。稲作の盛んな平野ではイナゴの佃煮が、海岸地域では新鮮な魚介類が食されていた。副菜は、大根、白菜、なす、みょうがなど地域で収穫された季節の野菜を漬物にしていることが主であった。山麓や丘陵地域では山菜やきのこ類が多く、煮しめや和え物に用いられていた。おやつは、どの地域においてもふかし芋、干し柿や干し栗、凍みもちなど自家製の素朴なものが多く、小麦の栽培が盛んな県北地域ではみょうがの葉焼き、全域でしそ巻きがあげられた。

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