日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-4
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口頭発表
食物の「かたさ」に関連するテクスチャー用語の体系化
*早川 文代風見 由香利中野 優子井奥 加奈
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抄録

【目的】「かたさ」は、多くの食品・調理においてテクスチャー評価の観点となるが、多義的、複合的で、曖昧さを含むこともあり、多くの類義語があることも示唆されている。本研究では、高精度の食品評価に資する参照資料を得るため、「かたさ」に関連する用語を体系化し、「かたさ」の要素を整理することを試みた。

【方法】日本語テクスチャー用語445語を一対で比較し、食品のテクスチャー研究者12名(のべ96名)が用語間の意味の類似性を4段階で評価したデータ(文献1)を用いた。ここから、「かたい」あるいは「やわらかい」との意味の類似性の評価で2人以上の反応が得られた用語を「かたさ関連用語」として抽出した。得られた用語のデータに多次元尺度法(MDS)を適用し、用語の空間座標を求めた。さらに、空間座標にクラスター分析を適用して用語を分類した。

【結果】「かたさ関連用語」として184語を選定した。MDSの空間座標の計算には、モデルの適合度と解釈しやすさから5次元解を採用することとした。第1次元は「かたい」vs「やわらかい」、第2次元は「破砕」vs「流動」等、各次元の解釈ができた。クラスター分析の結果、184語は3分類され、①主に「かたさ」に関連する語、②「かたさ」にも「やわらかさ」にも関連する語、③主に「やわらかさ」に関連する語と解釈できた。各群はさらに階層的に分類され、小分類として計22クラスターが得られた。22クラスターは、「表面のかたさ」「弾力のあるかたさ」「空気を含む感じのやわらかさ」等と解釈できた。以上より、「かたさ」に関する用語体系が得られ、日本語の「かたさ」に関連する多要素を整理することができた。

1) Hayakawa et al., J. Texture Studies, 44, 140-159 (2013)

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