日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-85
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ポスター発表
生地および製パン性に及ぼす発酵種の特性
*高橋 真美
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キーワード: パン, 発酵種, 生地
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抄録

【目的】国産小麦粉は、パンや中華めん用に適した特色ある新品種が多種多様に開発され、パンや中華めん用にも需要が増加している。国産小麦粉の生産量は、北海道産が約61.0%占めており、小麦粉の用途別使用状況としては、パン用小麦粉が約40%である。パン製造では、自然界に存在する酵母を種おこし製パンに用いる方法は、種おこし工程が加わり手間と時間を要するが、酵母以外の多種多様な成分による相互作用によって発酵力、芳香、保存性が安定しており、各種酵素の含有で素材のうまみや香りを引き出す力が強く、また独特の芳香成分を生成することから、盛んに活用されている。本研究では、酵母の違いによる生地および製パン特性への影響について検討した。

【方法】発酵種の生種おこしは、元種100gを温水(30℃)200mlに加え、28℃で24時間、静置して調製後、冷蔵庫で8時間保存して供した。生地の膨張力は、メスシリンダー試験により測定し、発酵特性の指標とした。測定時間は、45分間隔で測定した。

【結果】発酵種生地およびドライイースト生地ともに、測定開始90分までは、生地の膨張力には差は認められなかったが、135分から315分間が著しく生地の膨張力が高まった。2種類の酵母の比較では、発酵種生地の方がドライイースト生地よりも膨張力が高かった。本研究に用いた発酵種は、原材料として小麦粉(国産)、米(国産)、酵母、麹を用いて調製された培養物でパン酵母として用いられており、微生物由来の成分および酵素などが含有している。このことから、発酵種に含有する各種成分および酵素などが相互的に作用し、気泡膜内部の形成に影響を及ぼしたことで発酵種生地の膨張力が高かったものと考えられる。

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