日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 1P-42
会議情報

ポスター発表
鹿児島湾における未利用・低利用甲殻類資源の分布と食味
*大富 潤大富 あき子狭間 桜
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】鹿児島湾の小型底曳網漁業ではエビ類を主対象とする船が多いが,海上投棄される種も多く,今後の有効利用が望まれる。本研究では,同湾において試験底曳網調査を行い,採集された甲殻類を有用種,低利用種,未利用に分類し,時空間分布を調べた。また,一部の種について食材としての味や外見の評価を行った。

【方法】鹿児島湾内広範囲に8つの定点を設定し,2017年1,4,7,10月に鹿児島大学水産学部附属練習船南星丸(175t)を用いて試験底曳網調査を行った。ナミクダヒゲエビ,ヒメアマエビ,ウチワエビを有用種,トンントコシロエビ,シロエビ,ミナミシロエビ,トゲサケエビ,ツルギサケエビ,サルエビを低利用種,その他を未利用種とし,それらの個体数と重量のCPUE(以下,CPUENとCPUEW)の時空間分布を調べた。また,標本の一部を用いて(1)2016年10月,(2)2017年2月,(3)2017年9月に一般市民を対象とした嗜好型官能評価法による素揚げの食味の評価を行った。

【結果および考察】試験底曳網調査の結果,CPUENは有用種が64%,低利用種が13%,未利用種が23%,CPUEWは有用種が64%,低利用種が21%,未利用種が15%であった。湾央部には有用種が,湾奥部には低利用種,未利用種が相対的に多かった。食味検査の回答者数は,(1)が261名,(2)が127名,(3)が806名であった。味に関しては,低利用種のサケエビ類,トントコシロエビ,サルエビは有用種のヒメアマエビよりも高い評価を得た。外見に関しては,ヒメアマエビとサケエビ類の間に差がみられなかった。未利用種も含め,全ての種において味の絶対評価値は高く,食材としての潜在価値は高いことがわかった。

著者関連情報
© 2019 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top