日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 1C-3
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口頭発表
炊飯時に発生する気泡が米飯に及ぼす影響
*小池 成彦伊藤 雄一郎逸見 憲一
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抄録

【目的】IH(Induction Heating)ジャー炊飯器では,加熱コイルにより炊飯釜を誘導加熱し,釜内の炊飯液及び米飯へと熱伝達することで炊飯を行う。炊飯器の釜形状や,釜に対する加熱コイルの配置変更は,炊飯時に釜底から発生する気泡の分布を変化させ,米飯の炊き上がりやおいしさに大きく影響を与える。本研究では,炊飯器に対して沸騰解析を実施し,炊飯時に発生する気泡と米飯物性の関係性について調査した。

【方法】IHジャー炊飯器(三菱電機製NJ-AW108及びNJ-AW109)に搭載されている2種類の釜(標準釜及び標準釜の底部にリング状の凸部を追加した凸リング釜)に対し,電磁界と熱流体の連成解析を実施し,沸騰現象の可視化と気泡分布の定量評価を行った。さらに,炊飯後の米飯に対し,含水率・硬さ粘り等の物性測定を行い,気泡分布と米飯物性を比較した。

【結果および考察】連成解析の結果,気泡は釜底の凸部や側面部における傾斜に沿って多く発生することを確認した。実炊飯との関係を調査すると,気泡分布と米飯物性に一定の相関があり,釜内で気泡が集中する領域において,米飯の含水率が高く,軟らかい傾向にあることが明らかとなった。標準釜では釜側面と中央から集中して上昇する気泡に起因して含水率及び硬さのムラが発生し,側面や中央が盛り上がった炊き上がりとなった。一方,凸リング釜では含水率及び硬さのムラが低減され,炊き上がりがフラット形状に近づいた。釜底に設けた凸部により気泡の発生が分散され,釜内の気泡分布が均一化されたことで,米飯物性のムラの低減と,炊き上がり形状が改善したと考えられる。

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