日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k33
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
広島県の家庭料理 主菜の特徴
主菜にみる地域特性
*渡部 佳美奥田 弘枝石井 香代子近藤 寛子渕上 倫子高橋 知佐子岡本 洋子海切 弘子上村 芳枝北林 佳織木村 安美木村 留美小長谷 紀子塩田 良子前田 ひろみ村田 美穂子政田 圭子山口 享子
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抄録

【目的】昭和30~40年頃までに定着していた地域の郷土料理と,その暮らしの背景を明らかにするため,平成24~25年度に日本調理科学会特別研究として実施した「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」調査,および補充調査から得られた広島県の主菜の地域特性について報告する。
【方法】広島県内を東部台地,福山地域,尾道・三原地域,芸北山間地域,瀬戸内沿岸地域,西部地域,中部台地,備北山間部の8地域に区分し,平成24~25年度37地区,平成26年度4地区で調査を実施した。また,平成27年度は日本の家庭料理本の編集上,主菜を35品に絞り, 掲載する料理の撮影と追加調査を行った。各地域の主菜の特性について明らかにした。
【結果】魚介類を用いた料理が最も多く30品であった。瀬戸内海沿岸で水揚げされる「小イワシ」「ネブト」などの小魚を用いた料理が挙げられた。東部沿岸では「たこ」「しゃこえび」,西部沿岸では「牡蠣」「あさり」を用いた料理が多く,全域で「あなご」「コノシロ」が用いられた。山間部では鮮魚でも腐りにくく,無塩物として運搬するのに適した鮫を「ワニ」と称して刺身で食していた。塩を用いて保存性を高めた料理に「マンサクの刺身」「いわし漬」があった。東部沿岸でも発酵させた「しばずし」が食されていた。全域で行事には「八寸」が食べられていた。主材料は鶏肉と根菜であったが,ぶりのアラを用いる地域もあった。「煮ごめ」は浄土真宗の門徒が,親鸞の命日前後の「おたんや」で必ず作る精進料理であり,広く食されていた。油揚げを用いて,塩,しょうゆ,砂糖で調味するが,だしは昆布,いりこの地域があった。肉料理は「松茸すき焼き」「肉じゃが」が食されていた。調理操作は「煮る」操作が最も多かった。

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