日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k4
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
宮城県の家庭料理 主菜の特徴
自然の幸に恵まれた宮城のおかず
*高澤 まき子和泉 眞喜子宮下 ひろみ野田 奈津実濟渡 久美矢島 由佳
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抄録

【目的】伝統的な地域の家庭料理を次世代に伝承することを目的に、平成24~26年にわたり日本調理科学会特別研究として、食生活の背景となる地勢・気候・生業等と併せて食生活の特徴や伝え継ぎたい家庭料理について聞き書き調査を行った。今回は調査結果から主菜の特徴について報告する。
【方法】調査地域は地域性から宮城県内を8区分し、居住年数30年以上の50~80代の32名を対象者として、日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の調査方法に従い、1960~1970年頃までに定着した料理の聞き書き調査を行い主菜についてまとめた。
【結果】仙台市街の中心部は新鮮な食材が入手しやすく料理に大きな特徴はみられなかったが、他の地域においては自給自足が主で、その地域で獲れるものを利用しおかずとしていた。肉類は、栗駒山麓、船形山麓、仙南・亘理平地、阿武隈丘陵地域では、家畜の鶏、山羊、牛、また野生の熊や兎などがあげられ、これらは主に汁物として食されていた。稲作の盛んな地域では、イナゴを佃煮にし、おかずのみならずおやつとしても食していた。魚介類は、漁港が点在する南三陸海岸地域ではカレイ、アジ、カツオ、イカ等は刺身、焼き物、煮つけに、カキ、ホヤ等は酢の物に、その他白魚、ドンコ、タラ等は汁物にし、新鮮な海産魚が豊富であった。内陸部や山間地域では、サンマの塩干し、なまり節、身欠きニシン、イカの切り込み、塩鮭、塩鯨、ホヤの塩漬け、焼きガレイ等の加工品を利用した料理やドジョウ、フナ、タニシ、川エビ、ナマズ等の淡水魚を利用した焼き物や甘露煮、味噌和え等が食され、新鮮な刺身は晴れの日のごちそうであった。卵料理の出現は少なく、卵は換金物として利用され貴重とされた地域もみられた。

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