日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-52
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ポスター発表
異なる照度下での日本酒摂取による味覚変化
三田 有紀子*堀江 麻友*依光 萌香平野 里奈大島 千穂村上 心續 順子
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キーワード: 日本酒, 味覚, 照度
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抄録

【目的】本研究では、日本酒の摂取前後と咽下による影響を和食の基本となるだしに焦点を当て、照明条件の異なる環境下で味覚や嗜好に影響するかどうか検討した。
【方法】被験者は、飲酒習慣のある成人男女10名とした。事前にアンケート、食事調査、身体測定等を行った。味覚試験では、照度を明環境、暗環境の2条件設定し、味質液として食塩濃度を3段階に変えた水とかつお昆布だし計6種類を用いて、①飲酒前、②日本酒を口に含み吐き出した後(口中残風味)、③飲酒後の3条件でそれぞれ味質液を口に含み味の評価や好ましい順位を自記式で記入させた。
【結果・考察】日本酒摂取による味覚変化を検討したところ、明環境ではいずれも食塩濃度の上昇に比例して、塩味、コク、後味の評価が上昇した。飲酒前と口中残風味、飲酒後を比較すると、飲酒前と比べて口中残風味では全体的に低評価となり、特に塩味は食塩のみの味質液で有意に低評価となったが、だしでは同じ食塩濃度でも評価が変化しなかった。これらの結果から、日本酒の口中残風味は塩味の感受性を低下させるが、だしを加えるとその影響が抑制されることが示唆された。飲酒後では、飲酒前よりも全体的に高い評価となり、その傾向はだしで強くみられ、飲酒状態では日本酒とだし両者の呈味成分の組み合わせが食事の味に影響する可能性がある。一方、暗環境では、飲酒3条件とも明環境と同様となったが、味質毎の飲酒による評価は飲酒前と比較して口中残風味下で無味のコクが有意に高評価となり、だしのみの旨味と甘味が有意に低下した。したがって、暗環境では味質の濃薄により感受性が変化し、口中残風味は薄味に対して相加効果、濃い味に対して相殺効果が生まれることが推察された。

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