日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-27
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ポスター発表
切削形状の異なる鰹節から抽出しただしの品質比較
堤 万穂*藤原 佳史*亀岡 恵子朝田 仁
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抄録

【目的】 鰹節の削り方には、薄削り、厚削り、糸削り、砕片など色々な種類がある。薄削りは短時間で香り豊かなだしが、厚削りはコクのある濃厚なだしが取れるなど、削り方によってだしの品質が異なることは定性的には明らかにされている。しかし、その品質差異に関する詳細な報告はほとんどない。そこで本研究では、削り方の異なる鰹節から抽出しただしの理化学分析および官能評価を行い、品質特性を明らかにすることにした。また、それぞれのだしの調理特性を調べるために、複数の料理を調製して嗜好調査を行った。

【方法】 鰹節を厚さ0.02~0.04mmに削ったものを薄削り、厚さ0.6mmに削ったものを厚削りとした。ハンマーミルで粉砕(5mmパンチングスクリーンパス)したものを粗粉砕品とした。それぞれの3%だしを調製し、理化学分析および分析型官能評価(9段階評点法)を行った。官能評価パネルは、社内味覚試験に合格した20~40代男女6名とした。また、それぞれのだしを用いて吸物、みそ汁などを調製し、嗜好型官能評価(7段階評点法)を行った。官能評価パネルは、女子大学生27名とした。

【結果】 削り方の異なる鰹節から抽出しただしは、品質特性が明らかに異なっていた。分析型官能評価の結果、薄削りから抽出しただしはくん臭、厚削りから抽出しただしは肉質香、粗粉砕品から抽出しただしは酸味、苦味・雑味が強く感じられた。理化学分析より、粗粉砕品から抽出しただしは、乳酸やヒスチジンをはじめ、全ての成分の溶出量が多いことがわかった。一方で、それぞれのだしで調製した吸物とみそ汁の嗜好型官能評価では、パネル間の嗜好のバラツキが大きく、だし間の有意差は認められなかった。

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