日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-20
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ポスター発表
蒸し加熱によるカブの甘味の増強と嗜好特性
山本 真子*岸田 恵津*井奥 加奈
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キーワード: 蒸し加熱, カブ, 甘味, 官能評価
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抄録

【目的】蒸し加熱は水蒸気の潜熱を用いて食品を加熱する湿式加熱の一つである。野菜を蒸すと甘く感じる傾向があり、これ迄に、キャベツを用いて、蒸し温度と甘味やテクスチャー等の関連等について報告した。そこで本研究では、カブを取り上げ、蒸し加熱後の甘味や嗜好特性を糖含量測定、物性測定、官能評価等により検討した。
【方法】市場で購入したカブ(小カブ)を用い、根の先端と基部を除いた中央部を繊維と平行に1cm×1cm×3.5cmの拍子切りにして試料とした。蒸し加熱には蒸し器(100℃蒸し)、または電子レンジを用い、比較として茹で加熱も行った。官能評価は、女子大学生9名を対象とし、甘さ、硬さ、おいしさ等について評点法で行った。物性測定にはクリープメータ(RE-3305S、山電)を用いた。糖の分析は、試料及びクリープメータで圧縮して試料から溶出する糖量(リリース糖量)を、Fキットを用いてグルコース、果糖、ショ糖を定量した。
【結果】生のカブ(小カブ)の糖含量は、グルコース 1.33g/100g、果糖 1.33g、ショ糖 0.14gであった。蒸し加熱後の糖含量は生と有意差がなかったが、茹でると約15%減少した。官能評価では、硬さは、生、茹で、電子レンジ、100℃蒸しの順で硬いと評価され、最大荷重値と対応していた。甘さは、100℃蒸し>電子レンジ>生・茹での順で評点が高く甘いと評価された。一方、おいしさについては試料間で有意差がなかったが、100℃蒸しで評価が高い傾向にあった。リリース糖量は、生が80mg/100gであるのに対し、いずれの加熱でも323~343mgと有意に増加した。したがって、蒸すことにより糖が溶出することなく軟化し、口腔内で糖が浸み出しやすくなって甘味が増強する可能性が考えられる。官能評価については、人数を増やして検討中である。

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