日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-1
会議情報

口頭発表
異なる加熱操作による食品の機能性成分および物理的特性の変化
*森山 三千江丹羽 悠輝大羽 和子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録


【目的】
 近年、電磁誘導加熱(IH)を利用した電磁調理器が一般家庭に普及しており、コンロがフラットであり清掃しやすい、火を使用せず安心感があるなど利点があげられる一方、電磁波がヒトの体に与える様々な影響も懸念されている。そこで、加熱法としてガス加熱と電磁誘導加熱を用いて調理し、食品の機能性成分であるビタミンC(VC)量、ポリフェノール量およびラジカル捕捉活性と破断特性を測定し、加熱操作後のこれらの変化から、熱源の違いが機能性成分および組織の軟化に何らかの影響を及ぼすかを検討することを目的とした。
【方法】
 試料としてジャガイモ、サツマイモ、ナスを用いて電磁誘導加熱およびガス加熱を行った。試料の大きさ、茹で調理の水量、焼き調理での油量、食品の芯温変化と加熱時間を等しくし、加熱操作を行った。VC量はHPLCポストカラム誘導体法にてアスコルビン酸(AsA)とデヒドロアスコルビン酸(DHA)を定量し、ポリフェノール量はFolin-Dennis法、ラジカル捕捉活性はBloisによる1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)法を用いた。破断特性はレオメーター(山電)を用いて測定した。
【結果】
 茹で調理後のAsA量、DHA量、総VC量、ポリフェノール量、DPPHラジカル捕捉活性および直火焼きであるグリル調理後のAsA量、ポリフェノール量、DPPHラジカル捕捉活性はともにガス加熱で高かった。しかし、茹で調理後の破断特性では大きな差はなかった。鍋を用いた焼き調理ではDHA量が多くなる傾向が見られたが、総VC量、ポリフェノール量、DPPHラジカル捕捉活性では加熱源による一定の傾向は見られなかった。

著者関連情報
© 2008日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top