日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 1E-5
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口頭発表
羅漢果の呈味特性と有効性
*澤田 崇子瀬戸 美江道免 亜登夢
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キーワード: 羅漢果, 糖尿病, 呈味特性
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抄録


【目的】
 平成14年の糖尿病実態調査によると、糖尿病が強く疑われる人は約740万人で、糖尿病の可能性を否定できない人と合わせると約1620万人にもなると報告されている。特に2型糖尿病の特徴は生活習慣が環境因子として重要であり日々の食事を管理することが疾患の対策として最も重要とされる。そこで本研究では、砂糖の約400倍の甘味を呈するが、ほとんど腸から吸収されることなく排泄されてしまう羅漢果(ラカンカ)を用いて、その呈味特性と糖尿病患者の甘味料としての有効性を検討した。
【方法】
 料理として、厚焼き卵、稲荷寿し、炒り鶏など計17種類、和菓子はあべかわ餅、甘納豆など計8種類、洋菓子はカスタードプリン、コーヒーゼリーなど計7種類、嗜好飲料はカフェ・オー・レ、キウイジュースなど計7種類を選び出し羅漢果を用いて調理した。羅漢果は砂糖の200倍の甘味を呈するよう調製されたラカンカエキスを使用した。官能検査は20代の女性5~10名で行った。次に、羅漢果で呈味を確認した料理で献立を作成し、甘味料として砂糖、羅漢果、エリスリトールを主成分とした甘味料を用い、それぞれ調理を行った。試食後、経時的に血糖値を測定した。
【結果】
 (1)調製した料理は官能検査ではほとんどのものが好まれたが、糖分が5%以上のものは好まれなかった。また、醤油を用いた料理に適しているのではないかと考えられた。(2)血糖値を測定した結果、健康な人の場合、最も血糖値が高くなる食後30分で砂糖に比べ羅漢果で調理した方が血糖値の上昇が抑えられ、羅漢果は糖尿病患者の甘味料として有効ではないかと考えられた。  

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