日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: 1D-a2
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口頭発表
調理における鰹だしの抗酸化効果について 第二報
*稲森 美奈子梨本 亜希宗像 三希松田 秀喜
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抄録


【目的】
 前報で、不飽和脂肪酸の多いマイワシを試料として鰹だしの抗酸化効果を検証し、脂質酸化及び生臭みの抑制効果について報告した1)。本研究では、マイワシ以外の食品素材を用いて、鰹だしの抗酸化効果を検証することを目的とし、鶏つくね等の畜肉類について調理時における鰹だしの抗酸化効果を検証した。さらに、鰹だしの加工適性を確認するため、マイワシのつみれにおいて、冷凍・冷蔵保存時の経時的な酸化抑制効果を検討した。
【方法】
 1、畜肉に対する鰹だしの抗酸化効果の検証は、5%鰹だし・10%鰹だしを、鶏つくね・豚団子・牛肉ハンバーグの作製時に添加し試料とした。対照は水で調理したものを用いた。官能評価は肉臭さ(油臭さ)を評価基準とした評点法を用いて行った。さらに、脂質酸化生成物については、試料をホモジネートしTBA値を測定した。2、鰯つみれに対する加工適性の検証は、5%鰹だし・10%鰹だし・水を配合した試料を作製し、冷凍では-30℃、冷蔵では5℃以下で保存し、経時的にPOVを測定した。
【結果】
 1、官能評価の結果から、鰹だしを添加した試料は肉臭さ(油臭さ)の減少が確認された。さらに、TBA値は鶏つくね・豚団子・牛肉ハンバーグの全てにおいて、鰹だしを使用したものの方が対照よりも低い値を示した。畜肉に対しても鰹だしが有効な酸化抑制効果を有していることが示唆された。2、冷凍・冷蔵保存した鰯つみれの経時的なPOV変化は、鰹だしを使用した方が低い値で推移した。このことから、鰹だしの酸化抑制効果が、調理後だけでなく保存中においても経時的に持続し、調理品の酸化を抑制することが示唆された。
1)平成18年度日本調理科学会要旨集

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