日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: P-49
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ポスターセッション
スルメの戻し操作におけるアルカリ浸漬条件がスルメの軟化におよぼす影響
*久木野 睦子
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キーワード: スルメ, アルカリ浸漬, 軟化
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抄録


【目的】
 食品の調理・加工にかん水等のアルカリ剤を利用する中国料理では、アルカリ液中に浸漬して戻したスルメが生鮮イカと同様に調理に利用されてきた。演者はこれまでスルメの戻し処理に伴う物性や筋組織構造の変化および嗜好性について調べてきたが、本研究では中国での実際の利用状況について調べ、これまでの結果と比較検討した。
【方法】
 中国上海市において購入したスルメおよび戻し処理後のスルメの筋組織構造を光顕観察した。また、スルメの戻し用として販売されているアルカリ剤を用いて実際にスルメの戻し処理を行い、戻し処理に伴う物性や筋組織構造の変化を調べた。また、それらの戻しスルメを用いて調理を行いその嗜好性について官能検査を行った。
【結果】
 調査した上海市内の市場等では戻したスルメを扱っていたところは大変少なく、その一方で生鮮イカは二度の調査でより新鮮なものを目にするようになっていた。市販の戻しスルメは外套膜が透明感のある外観で、光顕観察によるとその筋組織構造はこれまでの研究で観察した戻しスルメとは異なる像を示した。現地で入手した戻し用アルカリ剤をその使用法に従って調製したところ、文献等でみられたアルカリ剤よりさらにアルカリ度が高かった。この戻し液を用いて戻し処理を行うと、アルカリ液中での浸漬時間が長いものでは現地で販売されていたものと同様な状態に戻った。この戻しスルメを加熱調理したものは歯ごたえのないこんにゃく様であり、これまでの官能検査で好まれた条件で戻したスルメの物性とは顕著に異なっていた。

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© 2007日本調理科学会
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