日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-a8
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口頭発表
ムクナ属マメの調理に関する研究(第二報)                           -加熱前処理の効果および調味について-
*飯島 久美子香西 みどり藤井 義晴畑江 敬子
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抄録

【目的】 第一報より、ハッショウマメはフロリダベルベットビーンズ(以下、FVB)より吸水率の個体差が大きく実際の調理においてはこれを改善することが明らかになった。そこで第2報では前処理による吸水率の改善、アク成分の除去あるいは軽減、マメの軟化に適した加熱条件および調味と嗜好性について検討することを目的とした。
【方法】ムクナ属試料マメとしてハッショウマメおよびFVBを用いた。前処理は試料マメを(1)傷をつける、(2)煎るとした。前処理後4,20,40℃の水に0から24時間浸漬し、重量変化の測定より吸水率を求めた。吸水率が70%を超える浸漬条件の豆を加熱し、浸漬液および茹で水の色の変化を色差計により測定した。試料マメの加熱はゆで加熱と加圧加熱(85kpa)で1分_から_90分間行った。調味は試料マメが十分軟化したところで砂糖、しょうゆ、味噌の3種で行い、官能検査を行った。
【結果】いずれの前処理においても試料マメの吸水率は増大し、浸漬温度が高いほど吸水率は高くなった。傷をつける前処理のほうが煎るより吸水率が高く、ばらつきも少なかった。この効果はハッショウマメの方が顕著であり、傷をつけて40℃浸漬では20℃未処理の1/6の時間でほぼ同一吸水率に達した。吸水率が上がるとゆで水の褐変度が減少する傾向が見られ、前処理はアク成分の除去にも効果があった。前処理なしでは加圧加熱しても軟化しない豆があったが、前処理によりすべての豆が軟化し、ゆでおよび加圧時間が短縮された。官能検査の結果、砂糖、しょうゆ、味噌のうち砂糖の調味が好まれ、餡および餡ペーストとしての利用が期待できた。

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