日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1E-a5
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口頭発表
ブラッククミン添加油の抗酸化活性および嗜好性
*長島 万弓石川 陽子中丸 知美二村 陽子小嶌 淳子福田 靖子
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抄録

【目的】ブラッククミンはさわやかな刺激と薬効をもつスパイスであるが日本ではあまり利用されていない。H17年度本大会において、ブラッククミンの精油を含む低極性溶媒抽出物から水抽出物までの4種の抽出物は、いずれも高い抗酸化性と活性酸素消去能を示すことを報告した。今回はブラッククミンの調理への利用を目的に、種子粉砕物を添加した油を調製し、その抗酸化活性と調理に用いた時の嗜好性について検討した。
【方法】ブラッククミンシードおよび比較としてセージ(葉)、コーヒー豆を粉砕し、サラダ油およびゴマサラダ油に10%添加し、3週間浸漬後ろ過したものを試料添加油とした。抗酸化活性として、自動酸化安定性を重量法で、180℃、6h加熱油の熱酸化安定性をアニシジン価として測定した。また、嗜好性の検討として、常温利用のドレッシング、加熱利用のピラフ、揚げ油としての利用のクルトンを調製し、香り、好ましさ、後味について、5段階評価法で官能検査を行った。
【結果・考察】自動酸化安定性に関しては、いずれの試料もサラダ油よりもゴマサラダ油に添加したほうが高く、また試料別ではセージ>ブラッククミン>コーヒーの順に高い安定性を示した。アニシジン価については、サラダ油とゴマサラダ油に有意な差はなく、試料別ではブラッククミン>セージ>コーヒーの順に酸化を抑制していた。調理に利用した時の官能検査の結果は、ブラッククミン>コーヒー>セージの順に評価され、ブラッククミン添加油は抗酸化機能を有し、嗜好性も良好な油として調理に利用しうることが明らかとなった。

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© 2006日本調理科学会
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