日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-a8
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口頭発表
大豆加工品を応用した高齢者用機能性うどんの開発における基礎的検討
*篠崎 優理子服部 一夫有田 俊幸金城 康人谷口 裕信滝田 聖親
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キーワード: 高齢者, 大豆製品, うどん
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抄録


【目的】健康で幸せな高齢化社会の実現は、生活習慣病の予防と進展の抑制にある。生活習慣病の予防は、「食」を通して行う考え方が重視され、機能性食品が注目を集めている。著者らはこれまでに、多種類の機能性成分を含む大豆製品に着目し、うどん製造にきな粉を応用した高齢者用機能性うどんの開発を試みた。きな粉を添加したうどんは、豊富なたんぱく質、イソフラボンを含み、市販の高齢者用うどんと同等の破断応力を持つ、という結果を得た。そこで本研究では小麦粉に大豆たんぱく質を添加し、栄養価や破断応力を測定することで高齢者用機能性うどんの開発を試みた。
【方法】大豆たんぱく質添加うどん(SAN)は、小麦粉に大豆たんぱく質(0、5、9、18%)、食塩(2%)、水(37-50%)を加え製造した。SANの栄養価は、茹で時間と炭水化物、たんぱく質および脂質の溶出率と含有量の変化で評価した。さらに、物性評価は破断応力を測定し、市販の高齢者用うどんと比較して行った。
【結果および考察】0~15分間茹でた場合の、炭水化物、たんぱく質、脂質の溶出率は大豆たんぱく質無添加うどん(NSAN)と比較して、SANでは増加した。これは中力粉に比較して大豆たんぱく質の粒度が粗く、麺の表面から茹で水中へ溶出したためと推察した。一方、たんぱく質含有量はNSANに比較してSANで約60%増加を認めた。SANの破断応力値は、NSANより約10%、市販の高齢者用うどんより約130%高値を示した。以上の結果より、SANは高齢者に不足がちなたんぱく質の含有量が高く栄養価において優れた結果が認められた。しかし破断応力値は、高齢者用うどんとしては高値であるため、今後改良の必要がある。

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