日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 1D-a7
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口頭発表
容器等からのスチレンモノマーの食品への移行と調理におけるその挙動
*石田 裕鈴野 弘子
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抄録


[目的] 今日、ほとんどの食品がプラスチック製容器で包装されて市販されている。また、生鮮食品においてはポリスチレン(PS)などの保冷容器に保管される場合が多い。このように食品と直接あるいは間接的に接触することにより、容器の成分が食品へ移行する可能性が懸念される。特にPSは年間約40万トン(2001年)が食品容器として利用されており、食品と直接接触する可能性のあるものは食品衛生法でスチレンモノマー(SM)の規格基準が定められている。しかし、保冷容器については基準の適用が明瞭ではなく、残存するSMが食品へ移行吸着する可能性がある。そこで、本研究では市販食品の容器包装や保冷用発泡PS容器内のSM量を測定すると共に、食品へのSMの移行や調理による挙動について明らかにした。
[方法] 1)容器包装等のSM含有量 2)食品成分(ダイズ油、カゼイン、デンプン使用)の違いによるSM吸着性の比較 3)SM吸着量と時間の関係 4)食品へのSM吸着量 5)SMの容器透過性 6)SMを吸着させた食品の調理による消長 について溶媒抽出後GC法で検討した。
[結果] PS製市販食品容器のSM含有量は平均で16mg/kgと低かったが発泡PS容器では3000mg/kgを越える残存も見られた。また、容器内気相中のSM濃度は高いもので約30μg/Lのものが見られた。食品対照試料ではダイズ油にのみ吸着が見られ、吸着量は経時的に増加した。食品では脂質の少ないモモ肉にはSMの吸着は見られず、脂質の多いバラ肉に吸着が見られた。SMが吸着したバラ肉を焼く、茹でるなどの調理をしたところ、多少の減少が見られたが、半分以上は食品に残存することが明らかとなった。

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© 2005日本調理科学会
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