日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: P-55
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ポスターセッション
給食経営管理実習における衛生管理に対するHACCP教育の効果について
調理過程における一般生菌数の推移と作業動線の実態調査から
*菊崎 泰枝戸嶋 ひろ野西川 禎一尾立 純子
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抄録


【目的】HACCP教育の導入が学内給食経営管理実習時の衛生管理に与える効果を調べる目的で、大量調理過程における施設および受講生手指の一般生菌数の推移と作業動線の調査を行い、HACCP教育を施していなかった前年度と比較した。
【方法】実習受講生(3年生33名)には実習前に、汚染区域・準清潔区域・清潔区域のゾーン分け概念、手指洗浄のタイミング等を中心に「大量調理施設衛生管理マニュアル」に基づいたHACCP教育を行った。計5回の実習中における調理作業前後の調理従事者の手指および使用設備の一般生菌数および作業動線を調べた。手指はスタンプ法、設備は拭き取り法によって検体を採取し、生菌数を測定した。
【結果】汚染区域において作業後のまな板、包丁の柄、水道カラン等の一般生菌数の増加が認められたが、清潔区域では作業の前後ともに生菌がほとんど検出されなかった。手指の洗浄は適切なタイミングで行われていたが、菌数調査件数の約50%において手指洗浄後の菌数増加が認められ、正しい手指洗浄方法の指導を徹底する必要性が示唆された。動線調査では汚染区域から準清潔区域への逆行移動が前年度に比べて減少しHACCP教育の効果を認めたが、準清潔区域から清潔区域への移動は頻繁に認められた。清潔区域の作業者が準清潔区域に設置されている消毒保管庫から器具を取り出し使用したためと考えられ、設備設置意図を学生が十分に理解していないことがわかった。また冷蔵庫等の温度管理、加熱温度点検は前年度に比べると学生が自主的に行うようになり改善が認められた。今後はこれらの具体的な調査結果を資料として給食経営管理実習における衛生管理システム構築をめざす。

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© 2005日本調理科学会
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