日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成16年度日本調理科学会大会
セッションID: P-16
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東海・北陸支部
石川県における魚介類の調理文化(3)
能登地区の魚介類の利用
*新澤 祥恵中村 喜代美伊関 靖子張江 和子川村 昭子請田 芳恵粟津原 理恵
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抄録

【目的】石川県における魚介類の調理の地域性を検討するため、本報告では能登地区の魚介類の利用状況を検討した。
【方法】石川県能登の珠洲地区と門前地区を中心に自記式留置法により調査した。
【結果】能登は三方が海という自然環境で、海の幸が中心の食文化であると言われている。現在も食生活の中で魚介類の比重は大きいと言える。今回の調査でも、日常、魚介類がふんだんに使われていることが推察された。まず、大根なますで魚を使う例が多く見られた。ブリなますは代表的な物であるが、夏期のトビウオが出回る時期にはアゴなますがある。両者とも生魚を酢締めにして使うものであるが、ブリカマなますではブリのカマを焼いて身をほぐし大根と酢の物にしたり、同様にカマスを焼いて大根なますにする例もあり、さらに干し大根を使ったブリなますなど多様な調理形態がみられた。次に、なれ鮨として石川県では金沢のかぶらずしに代表されるが、能登地区でも麹漬けが多くみられ、今回の調査でも殆どの家庭で麹漬けが現在(または、以前に)作られていた。麹漬けではブリもみられるが、多いのはサバであり、このほかニシン(身欠けニシン)も多く、イシルを使った例もあった。シラウオに似たイサザは春の季節の魚でおどり食いが有名であるが家庭料理としては卵とじあげられた。タコと里芋を弱火でゆっくりと煮込むイモダコも、タコの捕れる夏期の副菜として、また、秋祭りの料理としても上げられた。焼ぶだしはカワハギ、フグ、カレイなどの白身の魚を焼き、中骨をはずして2_から_3日位生乾きに干すものであるが、正月の雑煮の具に使われるものである。

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© 2004日本調理科学会
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