2022 年 31 巻 3 号 p. 145-149
今回われわれは,カテーテル治療後に発生した止血用デバイスの感染による右大腿動脈仮性動脈瘤に対して術中判断にて末梢血管用バルン拡張型ステントグラフトGORE VIABAHN VBX Balloon Expandable Endoprosthesis(VBX)内挿を行い,良好な結果が得られたので報告する.症例は78歳,男性.左総頸動脈狭窄に対し,脳神経外科で経皮的血管拡張術が施行され,止血用デバイスが使用された.その後,右大腿動脈穿刺部の感染性仮性動脈瘤形成を認め,同日手術を施行.穿刺部周囲の血管壁の脆弱化と1–2 cm大の破綻を認めたため,人工血管や自家静脈グラフトを使用した局所での解剖学的血行再建は厳しいと判断し,VBX内挿を施行し,術後抗生剤治療を徹底した.炎症反応の正常化を確認後退院し,術後半年経過するが明らかな感染兆候は認めておらず経過良好である.