日本血管外科学会雑誌
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血管外科手術アニュアルレポート2016年
血管外科手術アニュアルレポート2016年
日本血管外科学会データベース管理運営委員会NCD血管外科データ解析チーム
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 30 巻 1 号 p. 23-41

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抄録

2016年に日本で行われた血管外科手術について,日本血管外科学会データベース管理運営委員会が集計結果を解析し,アニュアルレポートとして報告する.【方法】NCDの血管外科手術データに基づき,全国における血管外科手術動向およびその短期成績(術死,在院死亡)を解析した.【結果】2016年にNCDに登録された血管外科手術は136,164件であり,1,070施設からの登録があった.このデータベースは,7つの血管外科分野すなわち動脈瘤,慢性動脈閉塞,急性動脈閉塞,血管外傷,血行再建合併症,静脈手術,その他の血管疾患から成っており,それぞれの登録症例数は,21,653, 17,560, 4,983, 2,557, 596, 54,462,および34,353例であった.腹部大動脈瘤(含む腸骨動脈瘤)は19,144例で,その60.3%がステントグラフト(EVAR)により治療されている.1,794例(9.4%)の破裂例を含んでおり,手術死亡率は破裂,非破裂で,それぞれ15.7%,0.6%であった.破裂症例に対するEVARは35.9%を占め,比率が年々増加しているが,置換術とEVARの手術死亡率はそれぞれ15.8%と15.3%であり,有意差はなかった.慢性動脈閉塞症は,重複を含み17,560例登録され,open repair 9,303例(うちdistal bypass 1,329例),血管内治療8,257例が施行された.血管内治療の割合が47.0%であった.静脈手術では,下肢静脈瘤手術が52,639例と急激に増加し,このうちレーザー治療が36,036例で,手術法の68.5%を占めた.下肢深部静脈血栓症は469例であった.その他の手術として,バスキュラーアクセス手術32,779例,下肢切断1,411例が登録された.【結語】2015年と比較して,全領域において血管内治療が増加しており,とくに動脈瘤に対するステントグラフト内挿術,慢性動脈閉塞症に対する血管内治療や下肢静脈瘤に対するレーザー焼灼術の増加が目立った.

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