日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
膀胱内BCG注入後の感染性左総腸骨動脈瘤破裂術後経過中に弓部大動脈に感染性動脈瘤が再発した1例
大川 和成 高橋 章之春藤 啓介渡辺 太治山下 英次郎
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2021 年 30 巻 1 号 p. 17-21

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抄録

68歳男性.66歳時に膀胱癌に対して経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行し,術後BCG膀胱内注入療法を受け,再発なく経過していた.膀胱癌治療後の腎障害に対し撮影した腹部CTで左総腸骨動脈周囲の陰影異常,PET-CTで縦隔リンパ節,総腸骨動脈などに集積を認めたためリンパ腫を疑い精査を予定していたところ左下腹部痛が出現した.CTにて左総腸骨動脈瘤切迫破裂と診断し,緊急で人工血管置換術を施行した.大動脈壁の病理検査で類上皮細胞肉芽腫を認め,結核性感染性動脈瘤と診断した.術後は抗結核薬3剤併用療法を施行したが,初回手術から4カ月後,MRIにて胸部大動脈瘤を認めたため,緊急全弓部置換術を施行した.病理検査では,初回手術同様に類上皮細胞肉芽腫を認めたため,結核性感染性動脈瘤再発と診断した.BCGによる結核性感染性動脈瘤は抗結核薬治療中でも異所性に再発することがあり,術後も注意深く経過観察することが必要と考えられた.

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