日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
人工肛門造設術・永久気管孔造設術の既往歴を有する症例に発症した感染性胸部大動脈瘤の治療経験
常深 孝太郎森田 雅文吉井 康欣三重野 繁敏
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2014 年 23 巻 4 号 p. 822-825

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抄録

要旨:症例は75 歳,男性.喉頭癌に対して喉頭全摘術・永久気管孔造設術,直腸癌に対してハルトマン手術・人工肛門造設術の既往歴がある.高熱,全身倦怠感,食欲低下を主訴に救急搬送され,入院となった.精査で大腸菌を起炎菌とする感染性胸部大動脈瘤と診断された.治療は,抗生剤点滴による感染調節を行い,その後,肋間開胸・人工心肺使用下に感染した胸部大動脈の切除および上行・弓部・下行大動脈の一期的人工血管置換術を施行した.術後16 日間の持続的な胸腔内洗浄・ドレナージ術および6 週間にわたる抗生剤の点滴とその後の内服を継続し,感染は良好に調節された.以後3 年間の経過で感染再燃は認めていない.治療方針,とくに手術方法の決定に苦慮したが,良好な経過を得た.

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