結核
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大学病院における結核診療・教育・感染対策の現状と課題
倉根 修二工藤 翔二
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2003 年 78 巻 9 号 p. 573-580

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抄録

2002年1月, 全国80の大学医学部付属病院に対し, 結核の診療・教育・感染対策に関するアンケート調査を実施した.最終回答率は内科75%, 感染症科65%であった。回答医師の施設の結核病床保有率は27%であった。結核病床を持たない (無床) 施設における年間の診療結核患者数は, 概ね20人以下で, 診療に占める結核患者の割合は高くはないが, 回答医師の90%以上が結核患者の収容施設の必要性を認めており, 大学付属病院で診療すべき患者として “基礎疾患を有する患者” を挙げていた。結核教育に関しては系統講義のみならず, 無床施設の31.8%で結核専門病院での研修が実施されており, また60.8%の施設において, 結核感染対策に関する教育が実施されていた。一方学生に二段階ツベルクリン反応検査 (ツ反) を実施している施設は47.1%で, このうちの54.9%の施設ではツ反陰性者に対しBCG接種が実施されていた。結核緊急事態宣言以後, 大学付属病院における結核への対応は, 以前の調査と比較して若干の改善がみられるが, 結核 (感染症) 患者用病床の確保や結核専門施設との連携等, より一層の積極的な取り組みの重要性が示唆された。

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