医療安全には知識の習得と経験の蓄積が必要である.初期研修医は臨床経験が浅くインシデントが発生しやすいと考えられるが,その特性は十分に検討されていない.臨床研修制度が必修化された平成16年から平成30年までに,大阪大学医学部附属病院の初期研修医が報告したインシデント270件を分析した.インシデントの種類で最多は他の職種と同様に「薬剤関連」であったが,その他は初期研修医の臨床プラクティスを反映する「臨床検査」「処置・手技」「輸血関連」の頻度が高いのが特徴的であった.インシデントの要因の多くが確認行動に関連したものであった.医療安全対策として初期研修医の臨床プラクティスに合わせた,確認行動に関する継続的かつ複合的な教育体制の必要性が示唆された.