1997 年 26 巻 2 号 p. 349-353
HemochronとACT IIは、通常ACT測定値の比較では臨床的には差異は認められなかったが、ACT IIによるヘパリナーゼ添加ACT測定は、ヘパリン以外の要因(低体温、希釈等)によるACT値延長を検索するのに有用である。ACT値からヘパリン血中濃度は予測できず、ヘパリン血中濃度から算出したプロタミン中和必要量は、従来よりも有意に少なく、有用と考えられた。ヘパリン血中濃度を2.5mg/kg以上を目標に維持した場合、ACT値を400~450秒以上を目標として維持した場合よりもTATの増加が少なく、凝固線溶系の亢進を有意に抑制すると考えられたが、真に適正なヘパリン血中濃度を決定するには、まだ今後の考察が必要である。