人工臓器
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慢性腎不全を合併した体外循環症例の術後腎不全コントロール
―連続的腹膜灌流法の有効性についての検討―
山崎 一也近藤 治郎井元 清隆梶原 博一星野 和実坂本 哲鈴木 伸一磯田 晋矢野 善己松本 昭彦
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1992 年 21 巻 3 号 p. 889-892

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抄録

慢性腎不全(CRF)を合併した体外循環症例6例の術後腎不全に対するコントロールの方法として、透析液を持続的に10ml/kg/hrの速度で灌流する連続的腹膜灌流(CPD)を行った。体外循環中は限外濾過を使用した。術後のCPD使用期間は7-19日間(平均11日)であり、この結果6例中5例が生存した。CPD開始時の血清K、BUN、Crの平均値はK:4.2±0.7mEq/l, BUN: 33.7±9.3mg/dl, Cr: 4.3±1.1mg/dlで、CPD終了時はK: 4.4±0.9mEq/l, BUN: 54.0±23.8mg/dl, Cr: 7.9±2.3mg/dlとなり、CPD施行中の各値の一日平均増加量はK: 0±0.2mEq/l, BUN: 2.1±2.6mg/dl, Cr: 0.2±0.2mg/dlであった。またCPDによる平均除水量は1284±765ml/m2日、CPDのCCrは4.6±0.8ml/minであった。これよりCRF症例に体外循環による手術を行う場合、体外循環中は限外濾過を使用し、術後はCPDを施行すれば、術直後は出血、低血圧合併の恐れのある血液透析を行わなくても、充分腎不全のコントロールは可能であると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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