1991 年 20 巻 3 号 p. 767-771
完全体内埋込型全置換型人工心臓システムとして、胸腔内に血液ポンプを植え、腹腔内にアクチュエータを置くエレクトロハイドロ-リック式のシステムを試作した。本システムに用いる血液ポンプを、まず、空気駆動式として成熟動物である成山羊4頭(体重54kg~59kg、平均55.8±1.9kg)に植え込んで血液ポンプのみの生体内評価を行なったところ、最長40日間の生存例を得ることができ、エレクトロハイドローリック式のシステムを組み上げた際の長期評価への発展性が示唆された。次にアクチュエータと血液ポンプを組み合わせて模擬回路を用いたin vitro評価を行なった。アクチュエータは、ローラスクリュ機構により軸を往復運動させるDCブラシレスモータを、左右の血液ポンプとそれぞれ結合したプッシャープレートを有するポンプを用いた油室で挟み込んだ形式のもので、約6L/minの心拍出量を得ることができ、良好な拍出性能を示した。