血液透析中に突然発生する低血圧の機序を解析するため, 低血圧発生前, 発生中, 治療後にわたる循環血液量及び循環動態パラメーター, 血漿カテコールアミン濃度及び皮膚からの水分蒸発率の変動を調べた。その結果, 低血圧発生時には循環血液の分布の変化によって右房への静脈還流量は減少し, 心拍出量は減少することが示された。さらにこの静脈還流量の減少は, 交感神経系が未知の因子による血管壁緊張の低下を代償し得なくなったために生じるものであり, かつこの交感神経系の破綻の責任部位はafferent pathwayではないことが示された。