人工臓器
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ハイブリッド型人工肝開発の基礎的検討―肝不全ラットに対するLiver Biomatrix-Hepatocytesの腹腔内投与効果について―
斎藤 信也阪上 賢一宮崎 雅史松岡 順治塩崎 滋弘田辺 高由小出 典男長島 秀夫折田 薫三
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1987 年 16 巻 2 号 p. 916-919

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抄録

培養肝細胞を用いたハイブリッド型人工肝開発の一段階として、d-ガラクトサミン誘発肝不全ラットに対し、腹腔内に、肝細胞外間質物質(Biomatrix)と、肝細胞とを投与し、その生存におよぼす効果について検討した。肝不全ラットを、 (1) コントロール群 (2) Biomatrix単独投与群 (3) 遊離肝細胞単独投与群 (4) Biomatrix-肝細胞同時投与群の4処置群に分けた。d-ガラクトサミン投与後40時間目に、上記処置を行なったところ、処置後4日目の生存率では、第1群;35.0%, 第2群;16.7%, 第3群;34.8%, 第4群;62.5%と第4群において有意な生存率の改善がみられた。また、Biomatrixと同時に投与した肝細胞の腹腔内への生着も確認した。このBiomatrix-肝細胞培養系は、生物学的人工肝におけるbioreactorのプロトタイプとしてきわあて有望であると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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