人工臓器
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透析中の急激な血圧低下(Symptomatic hypotension)と循環血液量の変化
鶴田 良成前田 憲志吉田 文直新里 高弘石原 利員稲垣 太五十嵐 伊勢美北野 知之
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1987 年 16 巻 2 号 p. 847-850

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抄録

以前に開発したhematocrit連続測定装置を用いて血液透析中の循環血液量の変化を連続的に測定し、symptomatic hypotensionと循環血液量変化との関係を調べた。本研究ではsymptomatic hypotensionは血液透析開始、約3時間後に発生した。しかし、この時点は循環血液量が治療中の最低レベルよりも5%以上も多い点であり、一部の患者においては10%以上も多かった。循環血液量が最低のレベルに達したのはsymptomatic hypotensionの発生から、約1時間も経過した後であった。このことは循環血液量の減少に対して血圧を維持する種々の代償機構の予備能が治療中に変動することを示唆している。今回の研究でsymgtomatic hypotensionの前に特に循環血液量の急激な減少はなく、また、plasma refilling rateにも変化がないことも明らかになった。これはsymptomatic hypotensionの機序に毛細血管壁を介しての血管内から間質への水の移行は含まれないことを意味している。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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