人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
長期心保存における人工血液(perfluorochemicals)の有用性の検討
多胡 護喜岡 幸央坂東 興瀬野 晋吾妹尾 嘉昌寺本 滋
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 16 巻 4 号 p. 1660-1662

詳細
抄録

長期心臓保存法の確立は, 心臓移植を行なっていく上で重要な課題の一つである. われわれは低温持続冠灌流法を用いて安全な長期心臓保存法の確立をめざしている. 今回の検討は灌流液としてmodified Collins'液(MC液:A群)とMC液に酸素運搬能を有するperfluorochemicals(PFC)を添加した液(B群)を用いて24時間保存し, 両群の比較を行なった. 心重量の変化はB群の増加がA群に比べ有意に少なかった. 灌流量はA群では保存中の変化がB群に比べ大きく, 不安定な灌流動態を示した. 左室passive complianceはA群では保存終了時有意な低下を示したが, B群での低下は軽度であった. 灌流液中のCPK, LDHの流出量はA群の増加が著明であった. 灌流液中の乳酸濃度は保存18時間以後はB群が低く, ピルビン酸濃度は18時間以後B群が高かった. これらのデータはB群での保存状態がA群に比べて良好であることを示しており, PFC添加の有効性が示唆された.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top