人工臓器
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装着型腹水濃縮装置の開発
稲垣 豊天野 泉
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1987 年 16 巻 2 号 p. 1002-1006

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抄録

体外式Peritoneo-venous (P-V) shuntは従来の植え込み式P-V shuntと腹水濃縮静注の双方の利点を受け継ぎ, 欠点を改良している。今回は体外式P-V shuntをより広く応用する為に新たに装着型腹水濃縮装置を開発した。この装置は(1) one-way valve付flush bulb (2) polyacrylonitrile (PAN)膜製の濃縮器(3)滅菌貯留パックおよび間を接続するtubeより成り立っている。PAN膜の面積が0.5m2以上の濃縮器を使用して30分毎にfiberを洗浄すれば100cmの落差のみで十分除水が可能であった。しかし落差だけでは最初の10分で90%ほど除水され後の10分は極めて少量であるので, 効率を上げる為には腹圧を加えるかflushbulbを圧迫する必要があると思われた。この装置を一例の肝硬変に心不全を合併する症例に間欠的に装着して使用したところ10時間で数lの腹水濃縮静注が可能であった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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