1985 年 14 巻 3 号 p. 1360-1363
1966年9環より84年9月までに新潟大学第2外科教室にてAVRを施行し, 病院死を免がれた88例(S-E非被覆弁21例, S-E被覆弁15例, B-S弁10例, L-K弁7例, OS弁11例, SJM弁17例, ウシ心膜弁6例)の後天性弁膜症を対象として, 実測生存率, 代用弁関連event-free rateを比較検討し, 脳塞栓, PVEの発生頻度と背景を検討した。更に32例について, 遠隔期の弁機能を弁種間・サイズ別に比較し, 小サイズSJM弁の左室への影響, OS弁の開放角の変化も調べた。術後5年の生存率, event-free rateの点でB-S弁, SJM弁が他弁に比し優位にあった。至適抗凝固療法下ではいずれの弁でも脳塞栓症はなかった。弁機能は25mm以上のSJM弁, B-S弁で満足すべき状態であったが, 23mm以下の弁および傾斜円板弁の一部では今後慎重な経過観察を要すると考える。