1985 年 14 巻 3 号 p. 1330-1333
僧帽弁位摘出生体弁12個(Hancock弁11個, Liotta弁1個)の石灰化について種々の角度から検討を加えた。軟X線像では4年以上のもので89%に石灰化が認められ, 石灰化部位は交連部で必発であり, 交連部にdisruptionが多いこととの関係が示唆された。病理組織学的には石灰化はspongiosaに多く認められ, 電顕像では主にcollergen fibrilにそった石灰化が認められた。通常Glutaraldehyde処理Hancock弁, T6処理Hancock弁, およびウシ心膜弁の各弁尖の石灰化について, ウサギ皮下移植法にて検討した。病理組織像より判定した石灰化スコア, および弁組織のカルシウム含量より, 石灰化は通常処理Hancock弁, T6処理Hancock弁, ウシ心膜弁の順で少なく, 前者に比し, 後2者では有意に石灰化は少なかった。また弁組織のカルシウム含量およびリン含量はともに経時的増加を示し, 両者間にはy=0.6614+0.4390x, r=0.9672なる有意な一次相関が得られた。