日本胸部疾患学会雑誌
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中国産漢方薬「片仔廣」による薬剤性肺炎の1例
小林 義昭長谷川 隆志佐藤 誠鈴木 栄一荒川 正昭
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1996 年 34 巻 7 号 p. 810-815

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抄録

症例は47歳の女性. 平成2 (1990) 年から慢性肝疾患の診断で某院に通院していた. 平成5年4月に肝硬変と診断され, 中国産漢方薬「片仔廣」の内服を開始したところ, 5月頃より湿性咳嗽が出現, 増悪したため, 7月当科に入院した. 両背下部に fine crackle を聴取し, 胸部X線写真で両下肺野に網状影を認めた. 血液ガス分析ではA-aDO2の軽度開大がみられ, 呼吸機能検査では拘束性障害と拡散能の低下を認めた. 薬剤性肺炎を疑って, 片仔廣を中止して無治療で経過観察したところ, 自覚症状, 画像所見, 呼吸機能のいずれも改善した. また, 白血球遊走阻止試験では, 片仔廣による遅延型過敏反応が認められた. 以上の結果から, 片仔廣による薬剤性肺炎と診断した. 本症例は, 本邦における片仔廣による薬剤性肺炎の第1例と思われる.

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