日本胸部疾患学会雑誌
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肺動脈塞栓術の反復が奏効した肝性肺動静脈瘻の1症例
吉見 通洋高山 浩一相沢 久道井上 博雅橋口 典久村上 純滋蓮尾 金博原 信之
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1996 年 34 巻 5 号 p. 569-574

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抄録

肺動脈塞栓術の反復により血液ガスの改善がみられた両側肺動静脈瘻 (pulmonary arteriovenous fistula, 以下PAVFと略) の1例を経験した. 症例は63歳, 男性. 数年前より持続する呼吸困難の精査のため当科に入院した. チアノーゼ・ばち状指を呈し, 胸部X線では右下肺野の血管影増強を認めた. 動脈血液ガス分析では, 室内気でPaO2 46Torrと低酸素血症を認め, 100%O2投与にてもPaO2 87Torrであり, 右左シャントの存在が疑われた. 肺動脈造影では, 両側下肺野に多数の拡張した流入動脈を伴うPAVFを認めた. 病変が両側であり, 心・肝機能低下があることより手術適応がなく, 金属コイルによる両側肺動脈塞栓術を計3回施行した. 術後著明な呼吸困難の改善が認められ, PaO2は室内気で54Torr, 100%O2 投与後には375Torrと酸素化の改善を認めた. 現在, O2 3L/minにて在宅酸素療法施行中であり, PaO2は65.6Torrと改善している.

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