日本胸部疾患学会雑誌
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T0N1M0の肺小細胞癌と考えられた1例
中村 賢二礒部 威奥崎 健二井谷 研二村上 功由田 康弘藤原 康弘山岡 直樹長谷川 健司山木戸 道郎
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1994 年 32 巻 8 号 p. 814-818

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抄録

症例は51歳男性. 咳嗽を主訴とし, 胸部単純X線検査, 胸部CTで左肺門部に腫瘤を認めた. 肺門リンパ節の悪性病変を否定し得ないことより, 開胸術を施行した. 左肺門の腫瘤は#11のリンパ節に相当し, 他に腫瘍性病巣を認めずリンパ節のみ摘出した. 術後の病理組織学的検索でリンパ節内に小細胞癌の病巣を認めた. 術後他臓器等, 全身の検索を行ったが, 原発巣は見い出せず, T0N1M0の肺小細胞癌と診断した. 術後 carboplatin (CBDCA) 単剤による化学療法を月一回施行し,経過観察を行っているが, 術後約2年の現在もなお, 原発巣の出現を認めていない. 本症例のように肺門リンパ節のみ癌病巣を認め, 肺内に原発巣が証明されないT0N1M0症例は極めて稀と考えられる.

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