日本胸部疾患学会雑誌
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抗好中球細胞質抗体陽性のメサンギウム増殖性糸球体腎炎に伴うびまん性肺胞出血の1例
毛利 雅美南部 静洋宮崎 英明山之内 菊香栂 博久大谷 信夫
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1994 年 32 巻 8 号 p. 785-790

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抄録

症例は62歳, 男性. 発熱, 血痰にて入院. 胸部画像上, 両側びまん性に air bronchogram を伴う細葉中心性の浸潤影を認め, 肺胞洗浄液にて強血性の回収液と担鉄マクロファージを認め, 肺胞出血と診断. また同時に血清クレアチニン2.4mg/dl, 尿素窒素31mg/dl, 尿一般検査にて蛋白尿, 血尿を認め, 腎生検にて硝子化糸球体と軽度のメサンギウム細胞の増殖がみられた. また喘鳴の既往と軽度の閉塞性肺機能障害および軽度の好酸球増多を認めたため, 気道過敏性および可逆性試験を施行したところ陽性で気管支喘息と診断した. 抗好中球細胞質抗体 (P-ANCA) が高力価 (ELISA;×1,000↑) で陽性であり, 組織学的に血管炎の所見は証明できなかったが, メサンギウム増殖性糸球体腎炎, 肺胞出血, 気管支喘息を伴う血管炎症候群と診断した. 肺, 腎所見の急速な進行を認めたが, 副腎皮質ステロイド剤, 免疫抑制剤を投与し現在良好に経過観察中である.

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