日本胸部疾患学会雑誌
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閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者に対する長期在宅 nasal CPAP 療法の効果と合併症
赤柴 恒人倉科 桂司佐々木 巌河村 俊明吉沢 孝之大塚 健蔵武藤 敬堀江 孝至
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1992 年 30 巻 4 号 p. 604-608

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抄録

23例の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) 患者に, 長期在宅 Nasal CPAP (NCPAP) 治療を行い, そのコンプライアンス, 臨床的効果, 合併症について検討した. 平均15ヵ月では, 19例が治療を継続, 4例が中止しており, コンプライアンスは83%であった. 治療継続 (C) 群と中止 (NC) 群では, 年齢, 体重, 睡眠データに差を認めなかった. NC群4例の中止の理由は, 2例が機器との不適合, 1例は減量による症状の消失, 1例は喘息発作のためであった. 臨床的効果では, 大多数の症例で, 日中の傾眠の消失, 熟眠感の改善, 夜間頻尿の消失が認められ, 起床時の頭痛の消失, 性的能力の改善, 情緒不安定の改善も少数例に認められた. 合併症では, 10例 (43%) は治療による副作用が認められず, 9例 (39%) がマスクによる不快感, 6例 (26%) が口と鼻の乾燥を訴えたが, 重篤な合併症は認められなかった. これらの結果は, 本療法の長期的有効性と安全性を示していると考えられた.

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