日本胸部疾患学会雑誌
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Disodium cromoglycate により遅発型及び遅延型の気管支反応を示した気管支喘息の一例 -PIE症候群の起因薬剤としての可能性も含めて-
宗田 良宮川 秀文磯島 浩二角南 宏二難波 一弘荒木 雅史岡田 千春辻 光明中藤 研一多田 慎也高橋 清木村 郁郎
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1989 年 27 巻 1 号 p. 87-91

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抄録

Disodium cromoglycate (DSCG) により遅発型及び遅延型の気管支反応を呈した気管支喘息症例を報告し, そのアレルギーの病態と, PIE症候群の起因薬剤としての可能性について若干の検討を行い, 文献的考察を加えた.
症例は54歳の女性で, 気管支喘息として入院18ヵ月前よりDSCGの投与をうけており, 胸部異常陰影, 好酸球増多, および喘息発作の悪化を主訴に入院した. 入院後, PIE症候群を疑い薬剤によるリンパ球幼若化反応を行ったところDSCGに対する陽性反応を得た. そこで本剤の抗原性を確認する目的で, 吸入誘発試験を実施したところ, 吸入後6時間, 及び24時間に著明な呼吸困難発作を誘発した. なお即時型の反応は吸入誘発試験にても, また in vitro における反応好塩基球直接算定法においても認められなかった. 以上より, DSCGが遅発型, 遅延型の反応様式により気道反応を誘発し, 又胸部に異常陰影を認めたことより, 同様の機序がPIE症候群発症にも関与していたと思われた.

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