日本胸部疾患学会雑誌
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肺癌患者における段階的運動負荷試験 -Performance Status の定量化の試み-
三好 新一郎門田 康正中原 数也大野 喜代志藤井 義敬橋本 純平北川 陽一郎城戸 哲夫前田 元池田 正人藤本 祐三郎川島 康生
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1986 年 24 巻 6 号 p. 618-624

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抄録

Hugh-Jones 呼吸困難度指数 (H-J) 1度6例, H-J2度6例, H-J3度5例の計17例の術前肺癌患者を対象として bicycle ergometer による3分毎の段階的運動負荷試験を行ない, 体表面積あたりの酸素消費量 (VO2/BSA) と動脈血乳酸値との関係を検討した. その結果, 1) 負荷量の増加にともない, 乳酸値が smooth に上昇するため anaembic threshold (AT) の求まらない症例が認められた. 2) 乳酸値が11から30mg/dlまでの各濃度におけるVO2/BSAをその最も近い上下の実測値より比例配分によって計算で求め, H-J 1, 2, 3の3群間で有意差検定を行なったところ, 乳酸値が16から20mg/dlの間と24mg/dlにおいて3群間のすべてに有意差を認めた. 3) 安静時乳酸値の約2倍である乳酸値20mg/dl を empirical AT point として採用すると H-J 1, 2, 3のVO2/BSAは各々, 574±92, 445±70, 313±47ml/min/m2 であった. この empirical AT は肺癌患者の performance status の定量化に有用と思われた.

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