麻酔成犬24頭を用い, 各種血管作動性物質を左心室内と右心室内に注入し, 全身血圧と股動脈血流量を指標として, 肺における不活性化率について検討した. epinephrine と isoproterenol のそれは非常に低率であり, 濃度による不活性化率の変動がないところから, これらの薬剤は肺で不活性化されない可能性が示唆された. acetylcholine, serotonin, PGE2, PGF2α, LTC4, LTD4 の不活性化率は非常に高く, それらの濃度の増加とともに不活性化率は漸減した. histamine は軽度ながら肺で不活性化され, その濃度の増加とともに不活性化率は漸減した. 以上の実験成績より, epinephrine と isoproterenol は肺で代謝されず, PGE2, PGF2α, LTC4, LTD4は肺で高率に代謝され, acetylcholine, serotonin もほぼ同様であり, 一方 histamine の代謝率は低かった.