日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
肺における血管作動性物質の不活性化について-イヌを用いた実験的研究-
和頴 房代上塚 奈保子木下 美登里渡辺 晴雄北村 諭
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 23 巻 11 号 p. 1337-1342

詳細
抄録

麻酔成犬24頭を用い, 各種血管作動性物質を左心室内と右心室内に注入し, 全身血圧と股動脈血流量を指標として, 肺における不活性化率について検討した. epinephrine と isoproterenol のそれは非常に低率であり, 濃度による不活性化率の変動がないところから, これらの薬剤は肺で不活性化されない可能性が示唆された. acetylcholine, serotonin, PGE2, PGF, LTC4, LTD4 の不活性化率は非常に高く, それらの濃度の増加とともに不活性化率は漸減した. histamine は軽度ながら肺で不活性化され, その濃度の増加とともに不活性化率は漸減した. 以上の実験成績より, epinephrine と isoproterenol は肺で代謝されず, PGE2, PGF, LTC4, LTD4は肺で高率に代謝され, acetylcholine, serotonin もほぼ同様であり, 一方 histamine の代謝率は低かった.

著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top